和歌山県海南市出身
和歌山県紀美野町出身
─ 木々の葉擦れの音、鳥の声、緑に囲まれた最高のロケーションですね! お二人は近隣のご出身とか。紀美野町でキャンプ場を始めた経緯を教えてください。
芽生:私は隣の海南市出身で、夫は紀美野町出身です。全く知らない土地へ移住してきたわけではなく、結婚を機にこの町で一緒に暮らすことになりました。普段、私は団体職員として、夫は公務員としてお互いフルタイムで働いています。
克彦:このキャンプ場は「週末起業」。妻がメインとなって私が手伝うという形で運営しています。私の職場からも「妻の事業の手伝い」ということで正式に許可を得ています。
キャンプ場を作ったきっかけは、コロナ禍であまり遊びに出られない時期に、私がすっかりキャンプにハマってしまったこと。テントや焚き火台などのキャンプギアを少しずつコレクションしては試しに使ってみるのが楽しくて。そのうち「もっとこの楽しさを広めたい、自分たちでキャンプ場をやりたい!」と夢を描くようになりました。
芽生:夫がキャンプ場をやりたいなら、「私の大好きなサウナも一緒に作りたい!」と。私はサウナを題材にしたドラマ『サ道』を見て、サウナの魅力に目覚めてしまったんです。休日には県内外のあちこちのサウナや温泉を巡って「ととのう」のが趣味。キャンプ場にはお風呂がないところも多いので、「キャンプとサウナを一緒にできたら最高なはず」と、考えました。夫婦の趣味を掛け合わせた形ですね。
とまりぎCAMP&SAUNAの予約はWEBサイトから可能です
─ お二人の「好き」が詰まっているんですね。キャンプサイトの中心になっているこちらの古民家はどのように見つけたんですか?
克彦:キャンプ場にするので平らな土地であること、そして自然豊かでありながら車でのアクセスが悪すぎないこと、というバランスを重視して探しました。
芽生:2024年の初め頃から探し始めて、6月にインターネットの不動産サイトでここを見つけました。実際に見に来て、立派な桜の木やのどかな景色をすっかり気に入ってしまい、「迷うくらいなら買う!」と抽選に申し込み。運良く当選して購入が決まりました。
─ 古民家をきれいにリノベーションされていますね。
芽生:元の建物の良さを活かして、広い三和土のある玄関や、レトロな室内扉などはそのまま残しています。
こだわったのは、休憩所となる続き間の和室です。広縁のある大きな窓からは、そよそよと風に揺れる桜の木立が見えて、本当に落ち着くんです。急な悪天候の時には、テントではなくこの和室で寝泊まりしていただくことも可能ですよ。水まわりも、青系のタイルを使って、清潔感がありつつちょっとレトロな銭湯風に仕上げました。
─ 古民家の下に位置するキャンプサイトも、環境が素晴らしいですね。
克彦:約190平米という、一般的な区画の2〜3倍の広さがあります。キャンプサイトを囲む森も、うっそうと覆いかぶさってくるような感じではなく、明るくひらけていてとても気持ちがいいです。
キャンプサイトの下には川が流れていて、せせらぎをBGMにのんびりできます。またここでは焚き火台を使わずに直火で焚き火を楽しんでいただけます。ペットも同伴OKなので、ワンちゃんと一緒に広々駆け回ることもできますよ。
芽生:紀美野町は「星ふる里」と言われるくらい星空が綺麗なんです。とくに冬場の澄んだ星空は格別です。街灯もないので、焚き火の炎と満天の星空を満喫していただけます。
─ サウナもかなり本格的なつくりで驚きました。
芽生:せっかく一から作るなら、サウナ好きとして絶対に妥協したくなかったんです。サウナルームは全面ヒノキ張りで、上段は寝転ぶこともできます。国産の電気ストーブ「IRORI」を導入しているので、熱したサウナストーンに水をかけて蒸気を発生させる「セルフロウリュ」をして、ジュワァァッ!という音と熱波、ヒノキの香りを楽しんでいただけます。
あと、導線にもこだわりぬきました!サウナを出てすぐのウッドデッキに五右衛門風呂の水風呂を配置、雄大な山々を眺めながら寝椅子で外気浴ができます。
─ 働きながらここまでの施設を作り上げるのは、ご苦労も多かったのではないですか?
芽生:サウナに関しては、工務店さんも私たちも一から作るのは初めてだったので、試行錯誤の連続でした。特に大変だったのが、消防署や保健所とのやり取りです。家庭用サウナと、お客さまを入れる業務用サウナでは法律の安全基準が全く違います。安心してご利用いただけるよう、基準適合の打ち合わせを何度も重ねました。
克彦:事業計画の面では、紀美野町商工会が強力な助っ人になってくださいました。どうしても施設づくりなどのハード面を先に考えてしまいがちな私たちに、「客層をどうするか」「年間の売上や集客のオペレーションをどうするか」といった現実的かつ継続的な視点からアドバイスをいただき、補助金申請に向けた事業計画書の作り込みにもしっかりと伴走していただきました。
─ 資金面などで予想外だったことはありますか?
克彦:物価や資材の高騰が続いているので、リノベーション費用はかなり予算オーバーしてしまいました。費用を抑えるために、ウッドデッキは自分たちで塗るなど、できるところはDIYをして節約しました。
芽生:田舎での起業はお金がかからないと思われがちですが、そんなことはないんですよね。事業用の備品や部品を一つ買いに行くにしても、大きなスーパーやホームセンターがある市街地まで山を下らないといけないので、ガソリン代や時間のコストが結構かかるんです。そういった細かな出費は、事業計画の段階ではつい忘れがちなので、これから起業する方は注意が必要ですね。
─ 実際にお勤めと週末起業を両立させてみて、今のライフスタイルはいかがですか?
芽生:買い物は仕事帰りに済ませておくなど段取りの工夫は必要ですね。でも、それ以上に自分たちで作ったこの空間で、お客さまがくつろいでくださると思うと、ワクワクします。
克彦:仕事と両立しながら、週末に自分たちの好きな空間を運営する。大変なこともありますが、この等身大の挑戦を夫婦で楽しんでいます。
─ これから「とまりぎCAMP&SAUNA」をどんな場所にしていきたいですか?
芽生:店名の「とまりぎ」には、鳥が羽を休めるように、来てくれた方々がゆっくり羽を休められる場所になってほしいという思いを込めています。いずれはキャンプだけでなく、一棟貸しのような形も展開できたらと夢は膨らんでいますが、まずは多くの方にここを知ってもらい、何度も足を運んでいただける「とっておきの場所」に育てていきたいです。
─ 最後に、紀美野町で起業や移住を考えている方へ、メッセージをお願いします。
克彦:私たちの場合はもともとほぼ地元民だったので土地勘がありましたが、全く知らない土地から移住して起業するというのは、とても大きな決断だと思います。いきなり引っ越してきて「合わなかった」となると大変なので、紀美野町が用意している短期滞在施設などを活用して、お試し移住のようにまずは何度も足を運んで、自分に合った土地かどうかを見極めるのがいいと思います。
芽生:紀美野町には個性的なカフェやパン屋さんもたくさんあって、ドライブしてまわるのも楽しい町です。町が主催する「地域づくり学校」のような、移住・創業者向けの学びや交流の場もあるので、そういった行政や商工会のサポートをうまく活用しながら、焦らず自分たちのペースで進めていくのがいいのかなと思います。
─ ワクワクする週末起業のお話でした。本日はありがとうございました!
※記事の内容は2026年5月時点のものです
芽生さんは海南市出身の団体職員。克彦さんは紀美野町出身の公務員。
サウナとキャンプというそれぞれの趣味を掛け合わせ、働きながら週末起業という形で、2026年3月に紀美野町に1日1組限定の「とまりぎCAMP&SAUNA」をオープン。
和歌山県海草郡紀美野町奥佐々267
1日1組限定・完全予約制
ご予約・詳細は公式WEBサイト、または楽天トラベルキャンプより